先月に続いて、青木ヨットスクールのライセンス講習。今回は、ASA MWXコース(海上気象)です。
早々と、年末に受講申込したものの、結局、直前になってバタバタと予習することに。今回のテキストは、以下の通り。
事前に配布される課題は、講習時間中に、皆で予習問題の答え合わせをしていきますので、予習していかないと話になりません。がんばって、前日に徹夜で仕上げていきました。(汗)
受講生は4人でしたが、内お二人はインストラクターの方の見学参加(?)でしたので、実質2人。もうお一方は直前に申し込まれたそうなので、最低開催人数2人に満たないとみて、インストラクターの方が参加していただいたのでしょう。
この辺りが、青木ヨットさんのきめ細かく、親切なところです。
講習内容は、「海洋気象」。ASA カリキュラムでは「Marine Weather Endorsement」で、「海洋気象の太鼓判」といった感じでしょうね。日本では Endorsement の意味がとりにくいためか、「MWX」となっています。コースナンバー はASA 119。
子どもの頃、地学研究会をやっていたので、昔から気象には関心を持っていましたが、何事も、教科書で整理して学ぶと、漠然とわかったつもりになっていたことも、ああ、そういうことなのね、と色々と疑問が氷解して、良いものです。
例えば、コリオリの力。地球の自転による見かけ上の力とされていますが、私は、漠然と、大気の流れに地球の自転と反対方向のベクトルが加わるのかと思っていました。
実際は、緯度による自転速度の差で、相対的に高緯度の大気が低緯度に移動すると、その緯度の大気を追い越してしまうので、赤道からみると大気が自転方向に曲がるように見えるんですね。つまり、北半球では右回り、南半球では左回りとなります。
帰ってから、ネットで調べてみると、これは「角運動量保存則」が働くためで、高緯度の大気が低緯度に移動したときの風速(緯度に沿った東西成分ですが)を計算で求めることも出来るようです。ちなみに、赤道で風速ゼロだった空気塊が北緯30度まで移動すると、計算上、風速は秒速134メートルとなります。これが台風のエネルギーなんですね〜。
(MWXでは、計算問題はありませんので、ご安心を)
ところで、高気圧の風の吹き出しは北半球では時計回りですが、低気圧への吹き込みは反時計回りですよね。これは、低気圧に大気が収束する際に右向きに回転するため、中心部にある空気塊を、ちょうど独楽を回すように、反時計回りに回転させているらしい。
まあ、いろいろ疑問は尽きませんが、ヨットはお天気と切り離せませんからね。これを機会に、海洋気象について、もっと勉強してみようかなと思いました。
その他、2日目の演習では、実際に起こった海難事故について、いろいろな角度から検討してみたり、気象庁が公表している地上天気図、高層天気図を使って、24時間後、48時間後の天気を予測してみたりと、CONコースもそうでしたが、大変実践的で、内容の厚みのある講習でした。
これは演習で使った高層天気図。上空の寒気の状態と上空への上昇気流の有無を天気図から読み取って、今後の天気を予測します。この日は、上空に強い寒気が流れ込んでいるので、大気が不安定に。夜半には雨となり、翌朝まで続きそうでした。
そう言えば、観天望気は、割とあっさりと。もう少し、雲の見分け方と天気との関係なんかを演習でやるのかと思っていたのですが・・・。
修了試験は、80問くらい。合格ラインは8割で、結果は、6問間違えての、何とか合格となりました。時間は2時間あったのですが、私は、それでもギリギリまでかかりました。もっと早く終わる方もきっとおられると思います。
ともあれ、一夜漬けで苦労しましたが、合格できて良かったです。次は「CEN 天文航法コース」(ASA 117, Basic Celestial Endorsement)を受講しようと思うのですが、このコースは土日を3週つぶすので、なかなか負担が大きい。天文ファンなので、大変興味はあるのですが、まだ決心がつきません。
今回も、CONコースと同じ、B先生でした。先生は、気象予報士の資格も持っておられます。青木校長の持論でもある「荒天を(むやみに)怖がらず、気象をよく知り、セーリングに利用する」というポリシーを強く感じた講座でした。
一緒に受講された、田尻マリーナに自艇を艇置しておられるMさん、青木ヨットに入社された校長のご子息Yさん、東京校のインストラクターAさん、皆さん大変お世話になりました。特に、海難事故をテーマにしたゼミ形式の討論の際には、Aさんの問題の整理のされ方に関心させられました。皆さん、また、いつかご一緒することがありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
(おまけ)
帰り道。高速を飛ばしていると、突然、あちらこちらに雨雲が降りてきて、冷たい雨が降り出しました。ああ、いよいよ強い寒気が南下して、大気が不安定になってきたぞと、ワークショップを思い出しながら、自分で天気を予測できた喜びをかみしめての帰路となりました。おしまい。
<以下、講座内容など>
ご興味のある方は、青木ヨットスクールのホームページをご覧くださいね。
マリンウエザー・コースの目標
ヨットの航海に必要な、風を中心とした気象情報の分析・予報ができること。その分析と予報をヨットの航海に利用することができるようになること。
【MWX 5つの効果】
- スキッパーとして、天候の予測と評価ができるようになる。
- その結果、より快適なセーリングができるようになる。
- 危険な天候状況を、回避できるようになる。
- 危険な天候状況から、より安全な状況へ向かうことができるようになる。
- ヨットレースでは、戦略的なコース選択ができるようになる。
マリンウエザーコースのプログラム
<1日目>
1.気象・海象の知識
- 天気を構成する要素
- 風はどのように吹くか
- 波高(有義波高)について
- 低気圧と前線
- 潮汐・潮流・海流
- 霧
2.気象情報の見方
- 天気図の種類と見方
- 天気図記号
- 天気図パターン
3. 荒天・嵐への対処
- 荒天準備
- 台風避泊の失敗から学ぶ
<2日目>
4.気象情報の入手と活用
- 海上警報の種類と発表基準
- 情報の入手先
5.観天望気
- 雲とその意味
- 前線の通過
6.悪天候による海難事故例の演習
7.マリンウエザー・テストと評価
ASA 119, Marine Weather Endorsement カリキュラム(機械翻訳)
↓
従来の海事スキルと最新の技術を使用して、気象条件を観察および予測することができます。短期間および長距離航海中のナビゲーションを計画および調整するための気象情報の知識。
基本概念
- ボート計画、特に風予報における海洋気象の役割を説明する。
- 気温、降水量、視界、風、波の関係と予測への影響を説明します。
- 風の用語と速度、距離、温度、圧力で使用される単位を説明します。
- 海洋予測センター、国立データブイセンター、海洋国立気象サービス(NWS)チャートからのデータを活用します。
圧力と風
- 気圧と風の関係を記述します。これには、高低、低気圧、尾根、谷の周りの風の流れが含まれます。
- 見かけの風を真の風に変換します。
- アネロイドおよびデジタル気圧計からの読み取り値を調整して取得します。
- 天気図に圧力分布と関連するラベリングプラクティスを記述します。
- 天気図上の等圧線から風速と風向を予測します。
グローバルな風と海流
- 大気の基本的な特性と、それが風や天候に及ぼす影響について説明します。
- 基本的な気団の分類と垂直安定性について説明します。
- 低迷、馬の緯度、貿易風、および西風の確立における赤道加熱の役割を説明する。
- ローフロントを生成する際の極の役割と、これらがその後地球の中緯度を横断する方法を説明します。
- 風の起源と振る舞いを説明し、それらが世界中の地表システムの開発と輸送にどのように貢献するかを説明します。
- 世界中の海流の分布と、航海計画の目的でそれらの値を予測する方法を説明します。
強風システム
- 強風システムで利用可能な予測規約と警告を説明します。
- 低気圧と前線、および熱帯性暴風雨と熱帯低気圧の区別を挙げてください。
- スコールの挙動を予測する方法を説明してください。
- 衛星風の測定値を見つけて使用する方法を説明します。
- 熱帯低気圧、暴風、ハリケーンの典型的な行動を説明する。
雲、霧、海の状態
- 10の基本的なクラウドタイプとそれらが示す可能性のあるものを説明および特定します。
- 正面通路で予想される一連の雲を説明します。
- 霧がどのように形成され、どのように予測されるかを説明します。
- 海霧と放射霧、およびうねり、風波、波紋の実際の区別を説明します。
- 風速、持続時間、フェッチに基づいて波高と速度を予測する方法を説明します。
- 風速を海の状態に関連付けるボーフォート風力のスケールを説明してください。
風と地形
- 土地の存在と地形が隣接する水域の風の流れにどのように影響するかを説明します。
- 海風、陸風、チャネリングとギャップ風、ブロッキングとリフティング、下り坂風などの顕著な局所風を説明します。
- 熱風と圧力システム風の相互作用を説明します。
天気図
- 利用可能な天気図の種類と、自宅および進行中の天気図へのアクセス方法をリストします。
- 天気予報のプロセスを説明します。これには、予測を確認するための分析と予測の順序付けが含まれます。
- 気象学者が作成した分析製品と比較した賛否両論を考慮して、GRIB予測にアクセスして使用する方法を説明します。
- 500 mbの地図と天気の議論を使用して、表面予報を評価する方法を説明します。
- 船上での風と圧力の観測を使用して、分析とその後の予測を評価する方法を説明します。
気象データのソース
- 航海の時間とルートを計画するために、内陸と沿岸の航海、および海洋横断のために、気候データの伝統的および現代の両方のソースの使用を比較します。
- 進行中の気象データのソースと、それを取得するためのワイヤレスオプションを一覧表示します。
- NWSの無料の公共サービスと比較した商業気象サービスの区別と長所と短所を説明する。
- プロのウェザールーティングサービスの役割と、それらが航海計画にどのように適合するかを説明します。
オンボードの予測と戦術
- 船上予報のための気圧計、風速、風向、雲、海の状態の適切な使用について説明してください。
- 巻雲の雲パターンから、風の方向を測る方法を説明してください。
- 海上天気のことわざの例と、予測に価値があるものを挙げてください。
- 航海戦術の改善におけるウェザールーティングの役割を説明する。
南半球天気
- 南半球の天気の独特な側面を説明してください。
- 南半球固有の気象情報のソースをリストします。