晴航雨読

〜ヨットとラテン語と、少しだけチェロのこと〜

青木ヨットスクール ASA SBDコース修了

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田尻マリーナ(2020.9.5)

先週末は、青木ヨットスクールのライセンス講習。今回は、ASA SBDコース(Safe Boating & Docking)です。

前にも少し書きましたが、ASAカリキュラムについて少し詳しく紹介しておきたいと思います。

f:id:p-in:20200908012957j:plainASA(American Sailing Association)は、世界で83万人以上がライセンスを所有する、世界スタンダードのASAヨット教育システムで、青木ヨットスクールは日本で最初に ASA セーリングスクールとなりました。(現在は日本では4校が登録されているようです)

青木ヨットスクールを受講すると、ASAのOFFICIAL CERTIFICATION LOGBOOK(履修記録簿)が発行され、修了したコースがわかるようになっています。写真は、私のLOGBOOKです。

 

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私のLOGBOOK。コース修了するとASA本部からシールが送られてくる

青木ヨットスクールのASAカリキュラムは以下のようになっていて、それぞれのコースに、ASAホームページに掲載のコースナンバーが付記されています。(右の写真は、ASAホームページのコース紹介ページから。 https://asa.com/certifications/

 

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【ベーシック・コース】
SBD(Safe Boating & Docking)コース<ASA118>
25フィートくらいの中型ヨットのスキッパーとして、クルーの安全確保と、マリーナでのドッキング(出入港、離着岸)が、自信を持ってできるようになる。

BKB (Basic Keel Boat)コース<ASA101>
25フィートくらいまでの中型ヨットのスキッパーとして、ディセーリングを実行できるようになる。

BCC(Basic Coastal Cruising)コース<ASA103>
30フィートくらいの中型ヨットのスキッパーとして、安全に、2、3日間のクルージングを実行できるようになる。

【ナビゲーション・コース】
CON(Coastal Navigation)航海術コース<ASA105>
いかなる状況下でも、艇を安全に航海させるためのナビゲーション技術をマスターする。

MWX(Marine Weather Endorsement)マリンウエザー・コース<ASA119>
ヨットの航海に必要な、風を中心とした気象情報の分析・予報ができる。その分析と予報をヨットの航海に利用することができるようになる。

CEN(Celestial Navigation)天文航法コース<ASA107>
人類の英知とも言える天文航法の技術をマスターする。六分儀の使用法、天体観測、計算法、作図法をはじめとする天文航法を学ぶ。

【アドバンスト・コース】
BBC(Bare Boat Cruising)コース<ASA104>
中型ヨットのスキッパーとして、夜間航海を含む3、4日間のクルージングを実行できるようになる。

ACC(Advanced Coastal Cruising)コース<ASA106>
中型ヨットのスキッパーとして、長距離のクルージングを、いかなる天候でも安全に実行できるようになる。

OPM(Offshore Passagemaking)外洋航海コース<ASA108>
ヨットのスキッパーとして、外部の援助を頼らずに長距離の外洋クルージングを、安全に実行できるようになる。

 

私は、この2月・3月に、CONコースとMWXコースを。そして、今回SBDコースを修了しました。BKBコースを修了すると、ASAの Member's Card が発行されるそうなので、とりあえずは、BKBコースの修了が目標です。

後は、昔、天体観測をやっていたので、CEN 天文航法コースはぜひ受講したいと思っていますが、その先は、どうでしょう。

夜間航海やときどき青木ヨットさんで企画されている四国一周なども、興味はあるので、そうすると、BBCコース、ACCコースが気になってきますが、琵琶湖でデイセーリングしている身では、ちょっとオーバースペックですね。(笑)

 

ちなみに、青木ヨットスクールの各コースの受講の流れは以下の様になっています。(青木ヨットスクール:https://www.aokiyacht.com/school/jyukousikaku/

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青木ヨットスクールの各コースの受講の流れ

図のように、今回のSBDコースは、最初の一歩です。一応、2年以上のスキパー経験があればSBD学科テストに合格(80点以上)すれば、省略できることになっているのですが、私はヤマハヨットスクールのスキッパーコースを修了して1年11か月なので、ぎりぎり条件を満たしていないし、実際に受講してみて感じたのですが、たぶんSBD学科テストの合格も難しかったと思いますね。

さて、受講してみると、直前キャンセルがあったのか、受講生は私一人。図らずもVIPプライベート・コースとなりました(笑)。一人だと、納得できるまで実習させていただけるので、大変お得ですし、ヤマハヨットスクールさんでも、一人だったので、一人受講になれているのですが、他の初心者の方をみて、いろいろなセーリング技術を、第三者の目で、客観的に見るということは出来ないので、一概に良いと言うこともないかも知れません。

SBDコースの内容は、以下のような感じでした。

【1日目】

  • 安全装備の使用法説明とデモ
  • 港内でのマナー5ヶ条
  • 艇上でロープワークテスト
  • ヨットの各部名称テスト
  • 出港準備項目と手順
  • 機走によるドッキング法
  • 風圧による艇の運動と回転
  • 入港時のスキッパー実習
  • 艇の後片付け

【2日目】

  • 風上前進離岸法
  • 風上後進離岸法
  • 落水者救助法
  • ドッキング海上テスト
  • 落水者救助法海上テスト
  • その場回頭の海上実習
  • 艇の後片付け
  • SBD卒業テスト

テキストは、『インナーセーリング 1』(青木洋著・舵社)で、SBDコースには、およそ以下の内容が含まれます。

  • 1章「セーリングの知識」
    • (1)スキッパーとクルー
    • (2)安全なセーリングのための個人装備
    • (3)ハーバーでの基本マナー五カ条
    • (4)これだけは覚えようロープの結び方
    • (5)これだけは覚えようヨットの名称
    • (6)離着岸の方法
    • (7)セーリングの準備
  • 2章「セーリングの技術」
  • 3章「ヨットの安全」
    • (1)落水者救助法

f:id:p-in:20200908113009j:plainあと、初心者には、ヨット用語が馴染みがなくて、最初のハードルになりますが、参考テキストの『インナーセーリング 3・ヨット用語辞典』(青木洋著・舵社)は、大変よく整理されていて、またイラストが理解を助けてくれるので、お薦めです。

また、SBDに関しては、机上演習は必要最小限という感じでしたので、基本的には、初心者の方は、私も含めてですが、事前に自習していかないと、まず海上実習でついて行けないと思います。上記の内容をみていただいてもわかるように、ある程度、我流であっても経験のある人が、きちんと知識を整理し直して、セーリングにあたって迷いをなくしていくのに適した内容かと思われますので、まったくの初心者の方にとっては、少々盛りだくさん過ぎるくらいかも知れませんね。

逆に言えば、これだけ系統立てて、セーリングの知識をわかりやすく解説したテキストは、他にはないと思うので、テキストの該当箇所を、ヨット用語辞典を引きながら、2回以上読んでおくと、楽しく実習に臨めるでしょう。

実際には、事前に配布される予習問題で学習できるようになっていて、テキストの章ごとのレビューテストと合わせて、事前に予習問題に取り組んでおいて、講習中にインストラクターの先生がポイント解説してくれる内容をしっかり聞いておけば、学科テストはたぶん合格できると思います。(私は鈍なので試験時間が足りなくなりましたが、一人だったせいか、多少の時間超過はおおめにみてくださいました)

f:id:p-in:20200908120807j:plain海上実習の方は、ちょうど台風の影響で、強風が心配でしたが、インストラクターの先生の適切なご判断で、2日間で行う実習を多少前倒しにしていただき、時間も雷雨が予想される時間を避けて、早めに切り上げるなどして、無事に全ての実習を終えることができました。ありがとうございました。

 

  

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2日目のセーリングの練習。まずまずのセーリング日和です

実習中は、自分の役割に集中しなければなりませんし、観光のように写真を撮るのもはばかられるのですが、セーリングの写真は絵になるので、事前に写真の許可をもらっておきました。もちろん、実習に支障が無く、余裕のあるときに少しだけ。

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インストラクターのU先生。写真を向けると爽やかな笑顔でこたえてくださいました

インストラクターのU先生は、吹田から来られているということで、私もT中学校なんですというと、なんとお父様がT中学校で体育の先生をされていたとか。ご縁があったんですね〜。

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きれいにカーブを描くメインセール。風はあまりありませんけど

多少、台風の影響はあるものの、風速は3〜4m程度。初心者にはちょうど良い風です。田尻港沖は、関空があるので、海にしては波もそれほど強くありません。

おそらくSBDコースは、25フィートくらいの練習艇を使うと思うのですが、この日はヤマハの30フィート艇。セール面積も大きめで迫力があります。セールアップにも一苦労。ハリヤードを引くのですが、もうダメか、と思っても、「もう少し」「もう少し」となかなかOKが出ませんでした。

やっぱり体力的に26フィートくらいが良いです、と言うと、先生は、電動ウィンチもありますから、と。なるほど。でも、先生が本当に欲しいヨットは、20フィートくらいのものということで、価格が2000万くらいするそうです。ヨットの楽しみは、いろいろということなんですね。

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関空から離陸する飛行機を眺めるのも楽しみの一つです

クローズホールド、ブロードリーチ、アビームからラフィング、ベアウェイ。それから、タッキング、ジャイビングをそれぞれスキッパー役、クルー役で声を出しながら繰り返し練習しつつ、しばし、快適なセーリングを楽しみましたが、台風の影響で、田尻マリーナは午後から出港禁止ということで、仕方なく、学科テストが待つマリーナに戻りました。

港に帰ってから、机上演習でやった、その場回頭の海上実習をさせていただいたのですが、ちょっと感動しました。

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桟橋で白鷺?がお出迎え。テスト頑張ってね〜

何とか、学科テストも合格できたので、帰り支度をして、事務所でライフジャケットなどの個人装備を購入できるとのことで、先生にいろいろお伺いしました。

テキストでもセーフティラインの取付ができるハーネス付きのものがお薦めとなっていたのですが、まだちょっと琵琶湖ではオーバースペックかなという気がして、ちょうど欲しいなと思っていた、先生お薦めのマリンツールを購入しました。

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Gillのマリンツール。たいていの個人装備は市価よりお安く買えますよ

それにしても、青木ヨットさんの事務の方のホスピタリティはすばらしいです。いつ行っても、いろいろと気に掛けていただいて、本当に感謝しています。今回も、どうもお世話になりました。ありがとうございました!

 

(おまけ)

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いつもお世話になっているホテル

前回に続いて今回もホテルアストンプラザ関西空港さんに1泊。田尻マリーナから車で10分弱の好立地です。大浴場もあり、朝食付き、駐車場無料で5400円と大変リーズナブルなのですが、更にGoToキャンペーンで、35%オフでした。すでに個人で申請できる期間は終了しているらしく、フロントですぐに手続きしてくれました。いや〜、助かりました。

こちらはベットが140センチ幅とビジネスホテルとしては、ゆったりしていて、勉強するスペースもあるので、個人的に、青木ヨットスクールに通う時の定宿指定しています。お薦めです。