晴航雨読

〜ヨットとラテン語と、少しだけチェロのこと〜

初めてのヨットレース 田尻マリーナ・サンセットレース

この週末、初めて「ヨットレース」というものに、クルーとして参加してきました!

ホームマリーナでもヨットレースは時々開催されているものの、とっかかりがないというか、どんな感じなのか全く知らないので、自艇を持ってから1年経ちますが、この1年はレースに参加したことがなかったのです。

ヨットレースというと、イメージ的に「懇親会」みたいなものかなと思っていたのですが、今回乗せていただいたのが教習艇ということもあってか、思いの外ガチのレースの雰囲気でちょっと意外でした。

参加艇は全部で12艇。私が乗せていただいたのは、スクール艇のY30です。Y30は新西宮ヨットハーバーのレンタル艇にシングルで乗ったことがあるのですが、割とセールも大きく、メインセールを上まで揚げきれなかった記憶があります。

艇長はA先生。クルーは青木ヨットスクールの受講生4名でした。30フィート艇なので、乗員的には余裕なのですが、コックピットの半分がヘルムスマン、左右のジブシートを一人ずつ受け持って、スキッパーはヘルムスマンの反対側とか臨機応変に。これで4人です。後は、バウ付近がナビや見張りには最適です。

よくヨットの写真で、甲板の中央辺りに並んで座っていますが、ヒールさせるためとか、積極的な理由もあると思いますが、割と居場所がないものですね。

私は、デイセーリングが基本なので、コックピットがもう少し広くてもいいような気がしますが、外洋型ヨットは、キャビンとの取り合いもあるし、コックピットがコンパクトだと、シングルでも操船しやすいので、一概に言えませんけど。

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田尻マリーナ。好天に恵まれました。ちょっと風が弱いかも

ちょっと青木ヨットさんで買い物をしたかったので、4時集合だったのですが、3時半に到着。2階の事務所に上がると、やっぱりまだ早い感じでした。

受付のYさん、いつもながら、ホスピタリティがすばらしいですね〜。お目当ては、青木校長のご著書、新刊『インナーセーリング4』とPLASTIMOのハンドコンパス iris50 のソフトケース。「インナーセーリング4」は BCC以降の講習のテキストとなるそうです。まだ、出版されたばかりなので、青木校長のサイン本でした〜。ソフトケースの方は、在庫がなく、送料が1000円かかるそうなので、ちょっとネットで見てみようかなと。

レース説明は5時からということで、微妙に時間が出来てしまったので、時間つぶしに近くの海岸に散歩にいってきました。

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田尻港のお隣、りんくうマーブルビーチ。この沖合がレースコースです

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この辺りも透明度高いですね〜。長〜い橋は関空連絡橋

散歩しながら、ふとハンドコンパスのケース、別に急いでいないというか、たぶんBCC以降の講習でしか使わないと思うので、送ってもらう必要はないかな、と思い直して、もう一度事務所に行って、今度 BCCコースを受講するときにもらえたらいいから、と取り寄せをお願いしておきました。

 

さて、そうこうしているうちに艇長会議、コース説明の時間となりました。マイクは青木校長、青木ヨットのスタッフの方、参加艇の艇長、私のようなクルー参加の人が若干名で、20人前後の会議ですが、事務所前の2階デッキで夕日を浴びつつ開かれる艇長会議の雰囲気が良い感じでした。

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事務所前の2階デッキで行われた艇長会議

ヨットレースは、参加する艇種がさまざまなので、艇種毎にレーティングというハンディのようなものが公式に定められているのですね。私の乗るY30は比較的大きな艇なので、出発時刻は最終となっています。最大で出発時刻には25分ほどのハンディがありました。

写真はコース説明図です。関空手前にある臨時標識が「B」、関空連絡橋の中央付近にある航路中央標識が「A」です。スタート・ゴールは「S」で三角形のブイだということです。

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というわけで、「わが艇」の出発までまだ30分あるので、作戦会議だそうです。え?作戦会議? 「参加することに意義がある」とかじゃなくて、ガチで勝ちに行くんですね。ちょっと意外でしたが、それはそれで面白そうです。やりましょう!

今日は、風が弱いので、セール面積の大きい Y30はその点有利です。だから、スタート順位は最後尾。25分遅れのスタートになるわけです。あと、A、Bの目標となる航路標識ですが、これをなるべく早めに発見したい。そのために、コンパス付きの海洋向け双眼鏡(フジノンWPC-XL)が用意されていました。

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タイムは事務所前の呼び鈴にタッチすることでスタート時刻、ゴール時刻となりますが、目標Sのブイからマリーナとの間は、機走してもよいということです。で、今日は風が弱いので、25分のハンディの時間を有効に活用するため、メインセールを桟橋で揚げておくことに。さらに、船首をあらかじめ出港の方向に向けておきます。30フィート艇でも、ベテランがやると、すーっと180度回転してしまうんですね〜。

こういうベテランの皆さんが普通にこなされていることって、一つひとつ勉強になります。

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出港準備よし。スタート時刻を待ちます。写真はA艇長

作業も一段落して、周囲を見渡す余裕も。7番目スタートの艇が出港していきますね。後5分で、出港時間です。

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次々と出港していく参加艇の皆さん

余談ですが、今回、初めて係留ロープを船側から解いて回収する、というのを経験しました。百聞は一見にしかずというか、座学では習ったのですが、やはり実際にやってみると、そういうことか!という感じでストンと落ちますね。

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さて、いよいよ出港です。クルー仲間のYさんが事務所前の呼び鈴を押して、走って艇まで戻ってくれました。お疲れ様〜。

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田尻港の出口。前を行く艇はまだセールアップしていませんね

前を行くのは、同時刻スタートの艇ですね。今回、初めて他の船の船名というのを意識しました。本当のレース?なら、相手の船の船種とかいろいろ頭に入っているのかも知れませんね。

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鏡のような海面です。先に出港した艇をとらえます

目標Sの三角ブイをすぎて、帆走モードに。ベタ凪で海面は鏡のようです。各艇、セールアップを終えて、様子見。

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べた凪で各艇とも帆走に苦心している様子ですね

弱い風をとらえて、何とか走り出しましたが、まだ水面を切る音はチャプチャプという感じです。大きなジブに風をはらんではいますが、張りがゆるいですね。

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弱いながらも何とか風をとらえて走ります

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精一杯セールトリムしても、まだジェノアにたるみが・・・。

こう速力が出ないと、コースが大切ですね。まだ、関空島まで2キロ以上あるので、コンパス付きの双眼鏡で目標となる標識の方位を探ります。

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最初の目標、目標Bの標識までまだ2キロくらい。双眼鏡で方位を探します

おっ、左舷側(南側)の艇の速度が上がってきましたね。海面の色が変わっているのがわかります。もうすぐあの風がこちらにも吹いてくるでしょう。ガマンガマン。

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後発の2艇が風をとらえましたね。あの風がこちらにも来るでしょう

周囲の景色がサンセットレースらしくなってきました。少し風も入ってきましたね。この辺りは、コース優先か、速度優先か、微妙なところでしょう。先行する艇は、アビーム気味で、速度をとっているのでしょう。風が出てくると、よし、という感じで速度アップしたくなりますよね〜。

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夕日に映えるヨット。海面の様子が変わってきました

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風を受け出したセール。ジェノアもピンと張っています

わが艇も、風にのって次第に速度アップしています。いつの間にか、双眼鏡を渡されてナビすることに。なかなか航路標識を見つけるのはむずかしいものですね。見つけても、船が揺れるので、方位が安定しませんが、何となく針の振れる中央値でいいのかな、と。この辺りで320度くらいだったような。ちなみに田尻港からみて目標Bの角度は315度くらいです。この日は南西の風なので、速度を上げようと思うと、若干北側にコースがふれるのでしょう。

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少しヒールしだしましたね。速力もあがってきたようです

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関空に近づいてきました。いつの間にか私が双眼鏡でナビすることに・・・

しばし快走して、関空島に近づいてきました。もう、肉眼で目標Bの標識が確認できます。往路は、この標識を時計回りにクリアします。先行グループが目標Bを回って目標Aに向かっていますね。ここで、スキッパーから目標Aの角度を測るように指示が。目標Bをクリアした後の艇の方位を確認するため、ということです。

これもなかなか見つかりませんでしたが、だいたい105度くらいだったかな。

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もうすぐ目標Bの標識。折り返しの先頭グループが見えてきました

はい、目標Bの航路標識です。時刻は18時27分でした。きれいに最短コースで回っていますね。この時点で6艇をとらえています。ここから目標Aまでは、ブロードリーチの風で、30フィート艇の大きなセールを活かして、順位アップを狙えそうです!

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目標Bをきれいに右旋回。先を行くグループをとらえましたね

ブロードリーチだとあまり風は感じませんが、セールには十分な風をはらんでいるので、それなりに速度は出ているでしょう。走りも安定して、夕景を眺める余裕もでてきました。ふり返ると、笑ってしまうような絶好のシャッターチャンス。「こちらを向ける人は向いてくださ〜い!」とパチリ。逆光ですから、シルエットだけですが、艇長のVサインが効いていますね〜。

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次は連絡橋中央あたりが目標。ブロードリーチで快走。夕日を背景にパチリ

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微妙にトリムを調整。かなりジェノア張りだしていますね

そろそろ目標Aが近づいてきました。この時点で先頭グループは3艇。この一角に割り込めるか、が勝負ですね。

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先頭グループが目標Aの標識を回っています

何だかカレンダーになりそうなシーンですね。この艇は艇長の割にセール面積が大きそうです。マストもちょっと高めか。優れたスタビリティー(復元力)を活かして、大きくヒールして疾走していきます。

一同、一瞬レース中であることを忘れて、まさにここにいるものだけが味わえる情景に引き込まれてしまいました。

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先頭をいく艇。夕日を受けて美しいですね

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思わずレース中であることを忘れそうな瞬間でした

さて、わが艇も目標Aの標識を最短コースで旋回。タイムロスはゼロです。ちょうど夕日が海に落ちた光の径を先頭グループが走って行きます。さあ、後に続きましょう!

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さて、わが艇も目標Aをクリア。時刻は18時39分。先頭の艇のヒールがすごいな

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肉眼でも目標Bの標識が見えてきた。あれ?よく見ると前に5艇いるような

よくみると前に5艇いるような・・・。スタート時刻の早めだった艇に追いついてきたということかな。目標に近づくと、艇と艇の距離がおのずと近くなってきます。スタートから抜き抜かれつしてきた参加艇と併走です。最後までがんばりましょうね〜。

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同時刻スタートだった艇と併走。いよいよ最終コーナーですね〜

目標Bの標識手前。タックしてから標識を旋回します。緊張の一瞬です。さっきタックの際にジブに挟まってしまったので、早めにコックピットに移動しなければ。そう、緊張しているのは私だけ。(笑)

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目標地点、タックしてから標識を旋回します。緊張の一瞬

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周囲に艇が少なくなってきました。いよいよ最終ランです

難なく、最終コーナーをクリア。時刻は18時53分。往路B→A所要時間が12分、復路A→Bの所要時間が14分でした。やはり、向かい風が難しかったですね〜。

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前には4艇見えますね。陸に近づくまでに少しでもタイムを稼ぎたい

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ここでヘルムスマンを交代。まだティラーに手ごたえがある。ガンバロー!

ヘルムスマンを交代して、最終ランのティラーを握ることに。最初は、少しウェザーヘルムを感じつつ操舵出来たのですが、陸が近づくにつれて、明らかに風が弱まってきました。前を行く艇との差はあまりありませんが、距離を縮めるのは難しそうです。

艇長は、目標Sのブイを越えてからの作戦を思案中。風も弱まったので、三角ブイを越えたら、この針路の速やかにセールを降ろして、機走で帰港することになりました。で、無事にセールを降ろして、着岸地点を目指します。

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無事目標Sをクリア。メインセールを降ろして仮留めします

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りんくうタウンも夜景モードに

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桟橋をめざして機走する艇長。どうもお疲れ様でした〜

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最後は溜息がでるような夕景となりました。これがレース初参加の記念品ですね

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田尻港に無事帰港。時刻は19時25分でした

田尻港への帰港は、19時25分。なので、往路田尻港→目標Bの所要時間は38分、復路目標B→田尻港の所要時間は32分でした。これはスタート時がベタ凪だった影響ですね〜。

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さあ、着岸に向かいます。無事帰港できたことに感謝。

レースタイムは、事務所前の呼び鈴をならすまで計測されます。着岸したら、またYさんが事務所前まで走ってくださることに。2回も続けて、ありがとうございます!

 

で、結果ですが、レース中に艇長に業務連絡っぽい電話が入っていたので、少し気にはなっていたのですが、何やら事故があったらしく、このレースは不成立ということになったようです。あれあれ。

お怪我とかではなさそうなので、だったら良かったのですが、詳細不明ということで、何となく尻すぼみのレースとなってしまいました。(涙)

ちなみに、わが艇の順位は4位ということでした。まあ、個人的には、もちろんレース初参加ですから、たくさん学ばせていただきましたし、よい経験となりました。

何より、クルーとして参加する、というハードルをひとつ越えられたことが、大きいですね。次のBCCコース、BBCコースは中・長距離の航行になっていくので、クルーとして皆さんと協調して動けることが、大切でしょう。

今回も、反省するところが多々ありましたが、まさにそれがクルーとして乗るという経験の大切さですね。

艇長のAさん、クルー参加のYさん、Hさん、Fさん、ご一緒させていただいてありがとうございました。また、どこかでお目にかかれるのを楽しみにしています。

 

(おまけ)

実は2日前にコロナのワクチン接種2回目を打ったので、熱はないのですが、ちょっと居眠り運転が心配になって、前日にいつものホテルアストンプラザ関西空港さんを予約しておきました。

予約プランに、ワクチン接種割引きという設定があって、なんと大浴場・朝食付き・駐車場ありで税込み4500円でした。個別空調なので、あまり感染リスクも感じません。

前日に予約したためか、シングルの予約だったのが、ツインになっていました。たぶん、シングルの方がベットが広いと思うのですが、部屋はちょっと広いのでしょうね。

また、ぜひ利用させていただきま〜す。

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