青木ヨットスクール ASA BKBコース は、ASA(American Sailing Association)の「ASA 101, Basic Keelboat Sailing」のライセンス取得を目指すコースです。ビギナーコースの2コマ目ですね。
実は、昨年末に受講するはずだったのですが、大阪・兵庫・京都が緊急事態宣言となったので、一旦延期していただいて、春になってそろそろ大丈夫かと思ったら、また第3波が始まり、ずるずると半年経ってしまったわけです。
で、「宣言」明けの7月に受講しようかと思いきや、皆さん、同じお考えなのか、すでに7月は定員に達していて、迷ったあげく、12月と同じく「宣言」下となるのですが、急遽6月の受講を申し込みました。
大阪も一時に比べるとだいぶ新規感染者数が減ってきましたが、このところ下げ止まっていますね。京都も増えず減らずで、相変わらずですが、オリンピックも無理から開催するようですし、「宣言」馴れもあるかも知れません。
何とか、気をつけて、受講してまいりたいと思います。
さて、BKBコースは2日間で、座学、実習、卒業テストを行うので、スムーズな受講のためには、予習が不可欠です。
天候などにもよりますが、BKBコースのスケジュールは、およそ次の様な感じとなっています。大変そうですが、青木ヨットスクールさんは、基本的に内容が理解できるように、また実技が身につくまで丁寧にコーチングしてくれるので、大丈夫、大丈夫と思いつつ、でも、何となく緊張しますね。
BKBコースのプログラム
1日目
- 0930時 指定場所へ集合
安全装備のチェック
艇上でロープワークテスト
ヨットの各部名称テスト
ドッキング法の海上実習と質疑応答 - 1200時 陸上昼食
- 1300時 出港準備項目と手順
タッキング、ジャイビング手順の机上演習
ヒーブツーの机上演習
出港準備
セーリングでのステアリング海上実習
海上休憩
セーリングの海上実習
艇の後片付け、セールの畳み方実習 - 1700時 解散
2日目
- 0930時 指定場所へ集合
各風位へのセーリング机上実習
出港準備
各風位へのセーリング海上実習
8の字救助法海上実習 - 1200時 陸上昼食
- 1300時 出港準備
各風位へのセーリング 海上テスト
8の字救助法 海上テスト
艇の後片付け、セールの畳み方実習
BKB卒業テスト
卒業テストの評価と質疑応答 - 1700時 解散
コースを申し込むと、事前に「BKBコース予習問題」(A4判6ページ分)をダウンロードできるので、これで予習していくことになっています。
本来は、テキストを勉強してから、予習問題に取り組めば良いのですが、BKBコースの学習範囲は、テキスト『インナーセーリング 1』(青木洋著、舵社)のほぼ全ページ。ちょっと大変なので、予習問題に取り組みながら、該当するテキストの部分を確認する、という感じで、予習を進めました。(汗)
すでに、昨年のSBDコースなどで、勉強したところも多いのですが、ヨットのカタカナ用語がどうも頭に入って来ません。(涙)だいたい、シングルハンドなので、黙って乗ってますしね。まあ、用語は理解の基本ですから、名前があやふやなら、使い方もあやふやということで、いけません。逆に、操船に馴れるにつれて、カタカナ用語も次第に頭に入ってくれるのかも知れませんけど。
予習問題を一応終えたので、ASAの「ASA 101, Basic Keelboat Sailing」のコース内容をベースにして、ノートを作ってみました。(米国の法律に該当するところは、日本のものに置き換えています)
こうしてみると、BKBコースが ASA 101 のカリキュラムであることがよく分かります。考えてみると、日本で ASAのライセンスがとれるということは、ありがたいですね。青木校長をはじめ、スタッフの皆さまのご苦労に感謝です!
【知 識】
A.セーリングの基本用語
1.次のヨットの部品とその機能を説明し、識別してください。
- ハル:艇体
- デッキ:艇の甲板
- トランサム:船尾の外板
- キール:竜骨(またはバラストキール)
- マスト:帆柱
- ブーム:帆桁
- グースネック:マストとブームの連結金具
- バウ:船首(スターンの対語)
- スターン:船尾(バウの対語)
- ヘルム:舵を取ること
- ティラー:舵柄(かじづか)
- ステアリングホイール:ラダーを操作する円形のパイプハンドル
- ラダー:舵
- コックピット:操縦席。ステアリングやシートの操作を行うキャビン後方の座席
- キャビン:船室
- スタンディングリギング:静索。マストなどのスパーを支えるワイヤロープ(ランニングリギンの対語)
- シュラウド:マストを横方向へ支えるスタンディングリギン
- スプレッダー:シュラウドに角度をもたせる腕木
- チェーンプレート:デッキやハルにあるリギンを取り付けるための頑丈な金具
- ヘッドステー/フォアステー:マストを前方に支えるリギン
- バックステイ:マストを後方に支えるリギン
- スタンション:ガンネル上に設置したライフラインを支えるための支柱
- ガンネル:舷側。デッキとハルと接合部(またはその部材)
- ライフライン:スタンションを通して艇の両舷に張り渡した落水防止用ワイヤ
- パルピット:バウとスターンに設けてある手すり
- バウパルピット:バウデッキの周辺に設置した手すり
- スターンパルピット:スターン周辺に設置した手すり
- ウインチ:シートやハリヤードを巻き取るための器具
- クリート:シートやロープを結んで留める金具
- ブロック:滑車
- フェアリード/デッドアイ:プラスチック部の穴にシートやハリヤードを通してリードする金具。
- フェンダー:船体を保護するためのクッション
- ドックライン:係留ロープ
2.次のセール、セールパーツ、セールコントロールの機能を特定し、説明してください。
- メインセール:メインマストに揚げる大きなセール
- ジブ:マストの前方に張る三角形のセール
- ジェノア:軽風用の大型ジブ
- ヘッド:セールの頂点。ハリヤードを取り付け、セールを揚げる
- タック:セールの下前端
- クリュー:セールの下後端
- フット:セールの下辺
- ラフ:セールの前辺
- リーチ:セールの後辺
- ダウンホール:セールやスピンポールを引き下げるためのロープ
- カニンガム:ラフにテンションを加えるためのタック上側のハトメ穴
- パテン:リーチを支えるためにセールに挿入する板状の骨
- パテンポケット:パテンを格納するためにセールに縫いつけたポケット
- ボルトロープ:セールのラフとフットに縫い付けてある細いロープ
- グルーブ:ボルトロープを通すためのマストとブームに付けられた溝
- ハンクス:ジブをステーに留めるためのスナップ状の金具
- ランニングリギン:動索。セールを操作するためのロープ類(スタンディングリギンの対語)
- ハリヤード:セールを張り揚げるためのロープ
- メインシート:メインセールをトリムするためのシート
- ジブシート:ジブをトリムするためのシート
- ブームトッピングリフト:ブームをマストヘッドからロープやワイヤで吊る仕組み。ブームの高さを保持し、落下を防止する
- ブームバング:マストとブームを連結し、メインセールのツイストを調節する装備。ブームを下方に引き、風圧でブームが持ち上がるのを防止する
- テルテール:風の流れを観察するためセールに取り付けた細長い糸やテープ
- アウトホール:メインセールのクリューを引くためのロープ。セールのドラフトを調節する
- ドラフト:セールの深さ。「ドラフトを前にする」は、カニンガムやアウトホールを調節して、セールの一番深い部分を前方に持ってくること
- トラベラー:シートブロックを移動させるためのレール。セールのツイストを調整する
- ツイスト:セールのねじれのこと。ツイストを大きくするとセール上部から風が逃げる
- スナップシャックル:ワンタッチで開閉できるシャックル
- レバーピンシャックル:ピンを穴へ差し込み、レバーをひねることで抜けないようにしたシャックル。ネジ式だと振動などで緩んで外れるリスクがある
- ローラーファーラー:回転してセールを巻き取る装置
3.次の用語を定義します。
- ポート:左舷
- スターボード:右舷
- フォワード:艇上の前方の部分
- アフト:艇上の後方の部分
- ビーム:デッキを支える梁状の骨組み
- アヘッド:艇よりも前方の方角
- アスターン:艇よりも後方の方角
- アビーム:艇の真横方向
- ウインドワード:艇の風上側(リーワードの対語)
- リーワード:艇の風下側(ウインドワードの対語)
- ドラフト:喫水(フリーボードの対語)
- フリーボード:ハルの水面上へ出ている部分の高さ(喫水の対語)
- ヒール:艇が横方向へ傾くこと
- ウェザーヘルム:セーリング時に風上側へ切り上がろうとする舵の状態(リーヘルムの対語)
- リーヘルム:セーリング時にバウが風下側へ向かおうとする状態(ウェザーヘルムの対語)
- スキッパー:艇長。航海の最終責任者
- ヘルムスマン:舵を取り操縦する乗組員
- クルー:乗組員
B.操縦と帆のポイント
4. 図を使用して、次の操縦、帆のポイント、およびその他の用語を説明し、識別します。
- ヘッドツーウインド:艇を風上に立てた状態。インアイアンと同じ
- ノーセイルゾーン:デッドゾーンと同じ
- デッドゾーン:クローズホールドでもセーリングができない風上側の風域のこと
- クローズホールド:いちばん風上側への風位でセーリングしている状態
- クローズリーチ:クロースホールドとビームリーチ(アビーム)の間の風位でセーリングしている状態
- ビームリーチ/アビーム:真横からの風位でセーリングしている状態
- ブロードリーチ:斜め後ろからの風位でセーリングしている状態。長時間でも快適にセーリングできる絶好の風位
- ランニング:真後ろからの風位でセーリングしている状態
- セーリング・バイ・ザ・リー:ランニングのセーリング状態で、デッドランの風位をさらに超えた状態。ワイルドジャイブの危険がある
- インアイアン:バウが風に立って行き足を失い、艇をコントロールできない状態
- ラフィング/ヘディングアップ:艇を風上側の風位へ向けること
- ポートタック:ポート側から風を受けてセーリングしている状態(スターボードタックの対語)
- スターボードタック:スターボード側から風を受けてセーリングしている状態(ポートタックの対語)
- タッキング:風上側へ風位を越えて方向転換すること(ジャイブの対語)
- ジャイビング:風下側へ風位を越えて方向転換すること(タッキングの対語)
5.次のヘルム コマンドと乗組員の応答を説明し、正しく使用します。
タッキング | スキッパー | クルー |
---|---|---|
1 | タック用意 | |
2 | 用意よし | |
3 | タック | |
ジャイビング | スキッパー | クルー |
1 | ジャイブ用意 | |
2 | 用意よし | |
3 | ジャイブ | |
リーフ | スキッパー | クルー |
1 | リーフ用意 | |
2 | 用意よし | |
3 | メインハリヤード下ろせ | |
4 | メインハリヤード下ろせよし | |
5 | タック掛けろ | |
6 | タック掛けよし | |
7 | ハリヤード上げろ | |
8 | ハリヤード上げよし | |
9 | リーフライン引け | |
10 | リーフライン引けよし | |
11 | メインシートトリム | |
12 | メインシートトリムよし | |
13 | リーフラインコイルアップ | |
14 | コイルアップよし | |
15 | クルー戻れ |
下記の項目 6 から 12 について、必要に応じて図を使用して、海上衝突予防法で定める「衝突を避けるための航法」に関する規則を説明してください。それぞれの状況で「保持船」と「避航船」を識別します。
6.見張り
周囲の状況を判断し、他の船舶と衝突しないよう、目や耳、その他状況に適したあらゆる手段により、常に適切な見張りをしなければならない
7.風向きが異なる帆船(右舷/左舷)
右舷からの風で帆走しているヨットが保持船、左舷からの風で帆走しているヨットが避航船となる
8.風が同じ側にある帆船(風下/風上)
風上側のヨットが避航船、風下側のヨットが保持船となる
9.ポートタックの帆船が風上側の帆船のタックを識別できないとき
風下側のヨットがポートタックで帆走中、風上側のヨットのタックを識別できないときは、他の船の邪魔にならないようにする。(保持船ではない)
10.追い越し
前方のヨットを追い越そうとするときは、追い越すヨットが避航船となる
11.互いに正面から接近する動力船
双方が避航船となり、互いに右に舵を切って、衝突を避ける
12.右舷の動力船と別の動力船
相手船を右舷側に見る船が避航船となり、右旋回、速度を落とす、停船などにより、衝突を避ける。(原則、左旋回は避ける。相手船の針路を横切ってはならない)
13.危険信号への対応を含め、商業交通の近くを航行する際に取るべき適切な行動を説明してください。
C.航路標識
14.浮標式を、色、形、灯色によって特定し、意味を説明します。
15.安全な水域についての浮標式を特定し、意味を説明します。
[参考資料]
D.安全装備と手順
16.法定安全備品について説明します。
- アンカー
- 係留ロープ
- 救命浮環
- 信号紅炎
- バケツ
- 笛
- 工具
- 船灯(マスト灯、両色灯)
- 黒色球形形象物
- ライフジャケット
- 消化器
17.航海灯の設置について説明します。
- 夜間、帆走中の全長7m以上12m未満のヨットの航海灯の表示方法
→マスト最上部などに三色灯を表示 - 夜間、機帆走中の全長7m以上12m未満のヨットの航海灯の表示方法
→白色の全周灯および舷灯または両色灯を表示
※機帆走中のヨットは、機走と同じ - 夜間、機走中の全長7m以上12m未満のヨットの航海灯の表示方法
→白色の全周灯および舷灯または両色灯を表示
18.航海計画の目的を説明し、そこに含まれる情報の例を挙げ、誰に提出する必要があるかを示してください。
航海においては天候の急変、座礁や衝突などの事故、潮流による目的地への到着の遅れなど、様々な不測の事態が起こる可能性があるので、事前に天候、目的地や途中の緊急避難先、航路の状態などについて、十分な情報収集を行い、それに基づいて、時間的にも余裕のある、無理のない航海計画を立てる必要がある。
航海計画にあたっては、「人(知識・経験・技術、そして体力)、もの(船の性能)、環境(天候や潮流、地形など)」の3つの要素を検討する。
また、以下の事項をマリーナや家族などに届けておかなければならない。
- 船長および乗組員の氏名、住所、連絡先
- 行動予定(目的地、寄港予定地、行動予定時間)
- 帰港予定日時
- 船名、船の種類や特徴など
19.船の事故をいつ、誰に報告しなければならないかを説明してください。
事故が起きたときは、人の安全確認を第一に行い、救助が必要な場合は、遭難信号により、周囲に知らせる。さらに、海であれば海上保安庁、湖・河川であれば警察に連絡する
20.小型船舶操縦者法に定められた、船舶の運転のための、血中アルコール濃度制限を示します。
呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上
【スキル】
E.安全装備
21.ライフジャケットの適切な使用を実演します。
F.セーリング
帆装し、セールアップして、以下のラインとコントロールを使用して、適切なセールトリムを得ること。
22.ハリヤードおよびファーリング装置
23.ダウンホールまたはカニンガム
24.アウトホール
25.ブームバング
26.メインシート
27.ジブシート
28.ウインチ
29.トラベラー
30.帆を下げる/巻き上げる/収納する。ラインを適切にコイルする/フレークする/収納する
コーチングなしまたはコーチの支援の下で、以下のリストの操縦中に、スキッパーやヘルムスマンの役割で、技能、安全性、優れたシーマンシップ、適切なナビゲーションで、セールが正しくトリムされ、船舶が常に制御されていることを確認すること。
31.離着岸を安全に進める
32.与えられたタックとコースを選択して維持する
33.インアイアンから抜け出す
34.ヘディングアップする/ラフする
35.ベアウェイする/ベアする
36.クローズホールドでセールをトリムする
37.クローズリーチでセールをトリムする
38.ビームリーチでセールをトリムする
39.フリーでセールをトリムする
フリーは、クローズホールド以外の角度で走ることをいう。アビーム、リーチング、ランニングなどの総称。
40.ランニングでセールをトリムする
41.タッキングする
42.ジャイビングする
43.乗組員として、適切な口頭で応答し、上記の操縦中に正しい行動をとってください。
G.落水者救助法
44.人が船外に落ちてから、安全に救助するまでの、取るべき正しい行動を説明し、実演してください。
H.帰港、ドッキング
45.ドックまたは係留に戻る
46.適切な係留。係留ロープ、フェンダーなどを使用して、船舶を固定します。
I.ロープワーク
次のロープの結び方について、それぞれの目的を説明し、実演します。
47.エイトノット(8の字結び)
48.リーフノット(本結び)
49.クラブヒッチ(巻き結び)
50.ツーハーフヒッチ
51.クリートヒッチ(クリート結び)
52.ボーラインノット(もやい結び)