晴航雨読

〜ヨットとラテン語と、少しだけチェロのこと〜

念願の青木ヨット ASA BBCコースに合格しました!


 

いつも募集開始とほぼ同時に定員に達してしまって、なかなかとれない青木ヨット ASA BBCコース。今回は、偶然、メール受信したタイミングで、ちょうど募集メールが届いたので、何も考えずに、即、申し込んで、受講できることになりました。

BBCコースの受講資格を満たしてから、2年ほど待ったかな。そろそろ諦めかけていたところで、ラッキーでした。

 

asa.com

 

ところで、BBCってどういう意味かなと、今さらながらに思って、ChatGPTに聞いてみたら、Bare boatというのは、スキッパーやクルーなしの、船だけ、というニュアンスらしいです。つまり、自分がスキッパーとしてヨットを扱えるスキルを習得するコース、という意味なんですね。

 

前日は、いつものホテルアストンプラザ関西空港に前泊。講座受講のたびに泊まっているので、勝手知ったる、ではないですが自分の部屋みたいな感じがしますね。

もう何度も泊っているので自分の部屋みたい

課題の航海計画とチャートプロッティングは、何日か前に仕上げてあったのですが、まあ、こういうのは、自分で考えてみるということに意味があるんでしょうね。

課題のチャートプロッティング。画面左下が徳島港

今回は、夜間航行ということで、月夜とはいえ、灯台が一番重要かなと思い、位置確認に使えそうな灯台の特徴を、事前に整理しておきました。

航海中、チャートプロットに使いたい灯台の特徴を整理してみた

海図もいくつか、手に入れ、SガイドやYチャートも購入してみたのですが、眺めていると、Yチャートと海図で、灯質灯高に相違があるものがあったので、何事も経験と思って、日本水路協会に問い合わせてみました。

Yチャートの灯質の表記が海図と違っていたので、水路協会に電話してみた

いろいろあったのですが、例えば、Yチャートの蒲生田岬灯台 Fl. 3S 50m 10M&F の「Fl.」についているピリオドは、「Wを略している」という意味ですか?と質問してみたら、Wを省略した結果、l(エル)を 1 と見間違えて 13S と誤認されないようにピリオドをつけている、とのことでした。聞いてみると納得ですよね。

ちなみに、最後の &F は近くの一定の海域を常時照らしている、ということらしいです。よくある F Fl(3) の F は「不動光(Fixed)」ですが、それとはまた違うような。

また、機会があったら聞いてみようかな。

 

さて、講習の内容は書けないので、ここからは、個人的なスナップを何枚か、載せときますね。

今回の実習の一番のポイントは、やはり夜間セーリングで、徳島港まで行く、ということでしょうね。なかなか、夜間に出港する機会なんてないと思うので、それだけでも、わくわくします。

事前に、チェックしたい灯台灯質は頭に入れておいたのですが、出港して関空沖を後にしてみると、周囲は明かりだらけ。港の入り口は紅色と緑色がセットになった灯浮標が割と分かりやすいけど、なにせ数が多すぎます。笑

灯光が白色の灯台なんか、街の明かりに埋もれてしまって、全然わかりませんでした。

大阪湾は街の明かりが多すぎて、どれが灯台かわからない

写真は、泉州沖にびょう泊中の客船。「前部に白色の全周灯一個を掲げ、かつ、できる限り船尾近くにその全周灯よりも低い位置に白色の全周灯一個を掲げること。」(海上衝突予防法第30条、びよう泊中の船舶)ですよね。

というか、照明全部つけてるし。笑

まあ、それでも、岬町沖くらいからは、街の明かりもなくなり、灯台の光が見えるようになってきたので、海図に記された灯質を頼りに、ひとつひとつ、どの灯台の灯光か、確認していきます。当たり前ですが、光達距離が長い灯台の光は、ひときわ目立ちます。

往路の由良瀬戸付近の灯台灯質をたよりに各灯台をチェック

この日は、下弦を過ぎたころで、多少月明かりで島影も確認できました。この海図はYチャートで、実線の緯度方向の1マスが1M(マイル)となっています。例えば、地ノ島灯台は、5M圏内に近づくと灯光が見えてくるので、岬町沖あいを通過する頃にはそろそろ見えるかな、という感じですね。

実際に走ってみるとわかりますが、友ヶ島水道のかなり手前から、生石鼻(おいしのはな)灯台が確認できるのは、結構安心感がありました。あと、洲本沖灯浮標の Q(3) =群急閃白光ですが、「思ったよりも急ではない」という印象ですね。「パパパ」ではなくて「パッ・パッ・パッ」ですかね。

 

分かりだすと、なかなか楽しいものですが、この辺りでワッチチームの交代時間となり、しばしキャビンで仮眠です。前泊もほぼ徹夜でしたし、結構揺れてるのですが、疲れてるので、寝られるものですね~。

起きると、すでに友ヶ島水道を抜けて、沼島(ぬしま)の手前まで来ていました。曇りでしたが、そろそろ夜明け。海上で見る夜明けの空は、美しいものですね。残念ながら、写真は撮り損ねました。ここで一枚挟みたかった。涙

 

徳島港入港後も、ハーバーまでの航路が緊張しました

さて、私がずっと new pec というアプリでナビしていたので、徳島港に入ってから、目的地のハーバーけんちょぴあまでの航路のイメージがあるでしょう、と言われて、往路最後のヘルムスマンを担当することに。

今回、思ったのは、やはり倍率10数倍の防振双眼鏡があったほうがいいな、ということです。8倍の天体観測用の双眼鏡を持って行ったのですが、もうすこし拡大したい、ということと、ブレは抑えたいですよね。結局、かなり近づかないと、港の入港航路を目視で確認できませんでした。

まあ、しかし、入港してからけっこう川を遡りますので、new pec のGPS機能をカーナビ代わりにフル活用して、徳島県庁前まで機走しました。こういうときは、ベアリングフィックスは無理なので、やはりGPSは便利ですね。川の分岐を間違うと、結構大変です。

 

seastationawakenchopia.weebly.com

 

とはいうものの、実はざっくり下調べもしてあったのです。笑

何せ、心配性ですからね。まさか、自分がヘルムスマンをやるとは思いませんでしたが、備えあれば患いなし、ということですかね。

徳島県庁前のハーバー、けんちょぴあ。(写真は早朝の出向前)

田尻港出航が午前0時、けんちょぴあ到着が午前10時、およそ10時間の航行。航海計画よりは1時間半ほど遅れましたが、たいだい講習日程通りの時間に到着したことになります。

教習艇のセールを新調したところ、ということで、結構重要なリーフ作業のための偽装がまだ途中だったり、エンジンもやや不調ぎみだったり、いろいろトラブルがあったわりには、インストラクターの先生や強者の受講仲間の皆さんの活躍で、何とか無事、予定通りに航海できました。

どうも皆さん、お疲れさまでした!

 

で、その晩は、受講の皆さんと楽しい夕食会。青木ヨットの受講生はいつも、遠方から参加されていて、今回も関東、中部、近畿(私)、九州と全国各地からの参加の皆さんでした。

皆さん、ふだん自艇でセーリングされているので、そろぞれの海域のようすや、船の偽装、セーリングや家族の話題など、まあ、いつまででも、話していたい感じですが、テストも気になるので、いい時間でお開きに。

徳島は、食べ物がおいしいですね~。

宿泊は徳島グランヴィリオホテル。ハーバーの協賛先らしい

さて、心配だったテストも、無事全員合格。東京のメンバーの帰りの飛行機の時間に間に合うように、航海計画をたて、朝食はキャンセル。朝6時に徳島港を出港しました。目標は、田尻港15時着です。

今日は、予報では雨模様。友ヶ島水道までは、北西の風。以降は、北東の風で、ちょうど真登りとなります。機帆走で、機走4~5ノット、帆走1~2ノットという感じ。ざっと45マイルとして、だいたい所要8時間くらい、という計算ですね。

遠く、鳴門大橋をのぞみながら帰路につきました

遠くに鳴門大橋をのぞみながら、順調に快走。雨もそれほど強まる気配はありません。とはいうものの、この辺りはまだ外洋とは言えないと思うのですが、軽いうねりのような波長10mくらいの波が次々と押し寄せるので、34フィート艇の艇長とシンクロして、波に乗り上げては落ち、乗り上げては落ち、の繰り返し。

ああ、こういう状態で、ブロードリーチになると、波に乗り上げたときに突風にやられると沈没するかもなあ、と何となく悟ったような気になりました。

天候不順の中、適度な風で結構ヒールしながら快走

セールはワンポイントリーフで、ずっと走っているのですが、34フィートなので、結構ヒールしますね。全員、風上側に移っても、デッキが波に洗われるので、本当はツーポイントリーフでも良いくらいだったのでしょうね。

 

さて、まあ機帆走なので、順調に歩(帆)を進め、往路では拝めなかった由良瀬戸を通過します。ここは時間帯によって潮流の影響を大きく受けるので、事前に最適な通過時間帯を計算し、その時間に合わせて通過するのですが、もっとも、それは小型艇の話。だって対向のタンカーも走っていますし。笑

往路ではワッチチーム交代で見られなかった、由良瀬戸(友ヶ島水道)

由良瀬戸といえば、教科書に由良港沖の方位標識のことが、のっていました(写真右)。由良港沖の東方位標識がそれで、これより東側が可航水域、西側に岩礁・浅瀬あり、を示しています。

一見したところ、標識の左側(西側)も航行可能に見えますが、この水深は2m以下。インストラクターの先生は、右側(東側)でも、コンクリートの基礎のある立標だから、あまり近づかない方が良い、とおっしゃっていました。

これが教科書に出てくる由良瀬戸の方位標識なんだね

大阪湾に入ると、おびただしい数の漁船が停泊していて、その間隙をするりと抜け、一路田尻港を目指します。

長旅のためか、次第にエンジンの不調が顕著となり、騙しだましの機帆走に。遠くにりんくうタウンの高層ビルが見えた時は、ああ、帰って来たなと、やはり感慨深かったです。

遠くにりんくうタウンの高層ビルが見えてきた。海は広いな

結局、田尻港入港の手前で、エンジンがダウン。青木校長自ら、教習艇で救援に出てきていただきました。

23フィートくらいのモーターボートで、巧みに岸壁にヨットを横付けさせ、「帰りはこのボート使ってください」と、何事もなかったように、堤防桟橋を歩いて戻っていかれました。

ボートからヨットへ、ヨットからボートへ、ひらりとつたい歩く姿は、日本舞踊のおどりのように、しなやかで、「極める」というのは、こういうことなんだなと、つくづく感心いたしました。

 

合格はしたものの、実習中もいろいろと仲間のクルーの皆さんに助けられて、何とかついていけた、という感じでした。いわば、チームとして合格ということで、私個人についていえば、まだまだ力不足。

ましてや、海外の初めての旅先の海で、Bareboat をレンタルして出港する、というようなことは、おそらくないでしょう。笑

まあ、それでも、娘と約束した「世界の海でセーリングする」という夢に、少しだけ近づけたんじゃないかな。

初めての夜間航行、に加えて、トラブル続きの航海となりましたが、先生や仲間の皆さんの仕事ぶりをみて、多くのことを学べたと感じています。本当にありがとうございました!

私はまた、琵琶湖でのんびり、風のない日に(笑)、セーリングを楽しんでまいりますね。

 

といいつつ、来週は、田尻港から和歌山マリーナシティまで、関西フロテーラにクルー参加させていただきます。

私のヨットは、和歌山マリーナシティのヨットハーバーから、琵琶湖に持って行ったんですよね。いつか、あそこに船を係留するのが、私の夢なので、とても楽しみにしています。

私も海でセーリングを楽しむ日がくるのかな~。

 

 

今回、初めて読んだ「インナーセーリング4(外洋ヨットによる長距離航海の技術)」。おすすめです。